This is The Khmer Art Ritual conch

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法螺貝
クメール アンコール期 12世紀~13世紀初
材質:青銅鍍金・銀 高:34.5cm (法螺貝:28.5cm 三脚台:9.7cm)

アンコール王朝期のクメール青銅の祭具に於いて、蓮の香炉と並び
最も特徴的で重要な法螺貝は、儀式を定める浄水の容器として
使用されました。

この法螺貝では、鍍金された扇形の殻口中央に、円相内に踊る
へーヴァジュラを、そしてその下からは、左右に伸びた蓮華の上
には、それぞれ坐像(仏)を鋳出しています。

法螺貝の縁、連珠文と小連弁を重ねた列弁文からなる縁飾りなど、
すべての装飾部分は鍍金で荘厳し、下部の殻塔は、部分的に鍍金
された銀を張り込み、殻塔の先端、殻頂には立体的な鍍金蓮華文
で飾られています。

法螺貝の注ぎ口の側面は、鳥類の鶏冠のごとく鋭く切り込み、裏の
上部では、鍍金されたガルダの鋭い嘴を表現しています。

クメール青銅の法螺貝で、鍍金された作品は、これまで殆ど知られ
ていません。
また世界中のどの美術館の収蔵にも見られず、さらに本作の銀まで
もが使用されている例は皆無であり、唯一無二のものになります。

また三脚台も、一般的なクメール法螺貝の台座として良く見られる
凡庸なものではなく、三脚は蓮花の意匠で、三脚の脚と脚の間には
殻口のへーヴァジュラに相応する女尊ヨーギニー、下部ではナーガ
を吐き出すカーラを鋳出しています。

祭具としての威厳と力を感じさせる、この法螺貝は胴部の張りと堂々
とした注ぎ口と曲線美にはメリハリがあり、青銅は厚く鋳造の完成度
は高く、さらには法螺貝として他に類を見ない金と銀で荘厳した本作
は、クメール青銅美術の祭祀用具として頂点であり最高傑作であります。

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