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三脚台(鉢)
クメール バイヨン様式 12世紀末~13世紀初
材質:青銅鍍金・青銅 高:15㎝ 横:14.8㎝
(三脚台 高:11㎝ 横:14.8㎝ 鉢 径:13cm 高:6㎝)
この形の三脚台は、一般的に法螺貝の台座されていますが、受け口が
真円で法螺貝を乗せるには不向きなものも多く、それらは金製鉢や青銅
の鉢、燈明器などの三脚台であったと考察できます。
この三脚台も形状などから、恐らく鉢の三脚台として使用されたもので
バイヨン様式作品にみられる列弁文と連珠文の縁飾りで装飾され脚基部
三面の上縁にはガルーダ繋ぐ三面上縁にはテパノン(合掌する天人)を
めぐらしています。
テパノンの下では歯をむき出し威嚇するカーラ(時間を司る神)を三面
に配しています。
三脚基部には獣面(マカラ・龍)をかたどり、獣面より吐き出され反り
返った脚の先端にはガルーダを表しています。
鍍金を施した特別な作品で、精緻な意匠とも、バイヨン様式の三脚台と
して現存する遺品のなかでも特別な儀礼用の優れたものの一つです。
鍍金された総体を、美しく緑青が包み込み、真正の作品のみが持つ静か
で凛としたたたずまいの上品なもので、制作された昔日の所用者がいか
に高貴な人物であったか容易に想像できる秀作です。
この青銅鍍金の三脚台と青銅の鉢(椀)は、本来一具のものではありま
せんが、青銅鉢は隙間なく収まり、姿も自然で昔日のアンコール王朝の
栄光と、その華麗な美術と様相を想起させられます。