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ナーガ上の仏陀

ビルマ ピュー 10世紀(Pyu-Early Pagan)
材質:青銅 高:15.6㎝ (展示台含 高:19.1cm)

ビルマ族による最初の統一国家であるパガン王朝(西暦1044年ー1314年)に
先行する謎の王国とも言われるピュー王国は、チベット・ビルマ語派に属する
ピュー族が国家を形成していました。

碑文や中国の歴史書から紀元1世紀頃から存在が確認されており、王城や
住居、衣服、通貨など幾つかの特徴が明らかにされ、人々は仏教に帰依して
いたとされます。


インド、パーラ朝美術の影響が見られる仏陀像で、連弁の上で三重にとぐろ
を巻くナーガの上で、右手は降魔印を結び、左手は腹前で掌を上に向けてい
ます。坐法は結跏趺坐とし、パーラ朝、そしてパガン王朝の坐仏の特徴でも
ある整然とした左右対称の裳裾も美しい作品です。


小さく細かな螺髪に、低い肉髪の上に突起を付け、眉間には白毫を表し、左右
の眼は大きく開眼し、右肩をあらわにする偏袒右肩につける衣は薄く体に密着
しています。

遺された数の少ないピュー仏像のなかで、作品のクオリティーは高く秀逸な
この作品は、経済学はもとより、美術品の価値判断においての最も重要な要素
として、希少性が上げられますが、東南アジアの仏像の中でも、10 世紀に遡る
ナーガ上の仏陀は、この作品の持つ秀逸さとともに、その希少性において高く
評価されます。

ナーガ中央の先端部分は、恐らく制作時の鋳造の不手際による制作時の調整
補修が見られます、鋳造の不具合は、古い時代のロストワックス技法の作品で
は比較的多くみられる事例です。


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