Ks118

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ナーガ上の仏陀頭部
クメール バイヨン様式 12世紀末~13世紀初頭

材質:砂岩 高:21cm (展示台含 高:29cm)

ナーガ上の仏陀像は、クメールの大乗仏教の代表的仏像様式で
ナーガ(蛇神)がとぐろを巻く上に座す仏陀、その頭上を覆う
ようにナーガの頭が広がる作品です。

これはもともと仏陀の逸話に端を発し、瞑想する仏陀を季節外れ
の大雨から守った龍王ムチリンダの姿を表してるとされています
クメールでは10世紀ごろよりみられ、仏教が盛んにとなった
バイヨン期ではジャヤヴァルマン七世により、寺院のあらゆる
ところにナーガ上の仏陀が安置されました。

大から小まで、作品の質も様々で数えきれないほどの作品が造像
されますが、その後の
廃仏行為の犠牲になり多くが破壊されました。

恐らく廃仏の時期に犠牲になったバイヨン様式の作品で、この時期
のナーガ上の仏陀では比較的珍しく、目は開眼し瞳を刻んでおり
選ばれた工人のジャヤヴァルマン七世の面影を残す優れた作品です。

額に僅かなクラックがあるものの、補修などは無く、頭部後部には
ナーガの一部が残されウロコの線刻が確認できます。