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ハヌマーン
クメール バプーオン様式 11世紀
材質:青銅 
高:10.1㎝(展示台含 14.8㎝)

このハヌマーン像は、恐らく軍隊の旗(旗印)の柄の先端に取り付けされ
た像で、青銅無垢で制作されています。


ハヌマーンはインドの大叙事詩「ラーマーヤナ」の悪魔退治において猿軍
を率い、ラーマ王子を助ける猿軍の将であり猿神です。

強い腐食で細かなディテールは失われ、腕やハヌマーンの長い尾などは欠
損していますが大きく腕を広げ、胸を張り雄叫びを上げる勇敢な姿は軍旗
のシンボルとして相応しく、バプーオン様式のしなやかな表現豊かな姿で
造像され、頭部には円錐形の宝冠を被り冠帯を巻ています。

腰に巻く布の、腹前で大きく弧を描く優雅な着用法に、バプーオン様式の
特徴が見られます。

東京国立博物館に、ほぼ同じサイズの保存状態も良く美しいクメール青銅
のハヌマーン像が収蔵されていますが
クメール青銅の神像では最も数の
少ない珍しい作品です。


参考画像:Adoration and Glory The Golden Age Khmer Art